第181話 時代の流れ
開業してはや20年が経過しました。初日の受診者数が13人からスタートした外来の風景も、今や100人を超えるお子さんが受診していただけるようなクリニックへと変わりました。ただここ数年、コロナの影響でさすがに当院も受診されるお子さんは激減しましたが、最近ではコロナ前の状態に少しずつ戻ってきたような感じがします。今月からはコロナの位置付けも5類感染症に変わりますので、さらに以前のような日常が戻ってくるのではないだろうかと思います。
最近では予約制のクリニックも増えてきましたが、開業当初より当院では予約制を採用していませんでした。恐らく今後も予約制を採用する予定は今のところありません。予約制を採用されているクリニックの先生と話す機会がありますので、予約制についての意見を聞くことがあります。それによると概ね好評のようではありますが、小児科ゆえなかなか時間通りに診察が終わらないこともあります。そうなると予約の時間に診察出来ないケースも出てきて、予約の意味がないと不満が出ることもあるようです。また、軽症のお子さんがたくさん予約をされている場合には、より重症のお子さんを診察できないという悩ましい問題もあるようで、なかなか難しいですね。また朝から予約が取れない場合もあるようで、最近はかかりつけの小児科の予約が取れないからということで当院を受診されるケースも増えています。
一方予防接種についても、開院当初は時間予約制ではありませんでした。そうすると、果たしてどういうことが生じてしまったか。皆さんの行動パターンというのは結構似ていますので、同じ時間に来院される方が多くなり、結局同じ時刻に人が集中してしまい、待ち時間が長くなるということが起きてしまいました。その反省から時間も決めて予約を入れると、スムーズに接種が出来るようになりました。最初からそうしていればよかったのですが、今思えば何ともお恥ずかしい限りです。
そして既にご存知の方も多いかと思いますが、来月からいよいよ予防接種の予約をネット予約に変更することになりました。これまでは電話や窓口で予約を受けることも多かったのですが、電話の頻度も昔とは比べ物にならないほど増え、どうしてもうまく対応出来ないことも増えてきました。予防接種の種類も以前に比べたらかなり種類が増えて、それぞれの間隔の問題なども複雑になってきました。今回のネット予約への変更により、予約が時間を気にせず出来る、キャンセルも自分で行うことが出来る、接種間隔の間違い防止が可能となる、などのメリットがあります。インフルエンザと同じ会社のシステムを利用させていただきますが、恐らく若いお母さん方はネット社会の中で生活されていますので、さほど操作については難しくもないかと思います。
ネット社会が当たり前になった今では、我々のいろいろな調査もネット経由で報告することが増えてきました。最初は面倒くさいなと思うこともありますが、慣れてしまえばそこまで苦にもならなくなりました。医療業界もこれからは時代の流れに順応していかなくてはなりません。ワクチンのネット予約については、最初はトラブルもある程度は予想されますが、順風な船出になってくれればいいなと思っています。戸惑われる方もいらっしゃるかとは思いますが、やってしまえば意外と簡単だと思いますのでよろしくお願いいたします。
【令和5年5月】
よしもと小児科 吉本寿美