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第73話 かぜを考える

小児科医のつぶやき|第73話かぜを考える

 「かぜとは、主にウイルスの感染による上気道の炎症性疾患に罹った状態の事であり、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻閉などのカタル症状、及び発熱、倦怠感、頭痛など全身症状が出現した状態の事で、西洋医学的にはかぜ症候群と呼ぶことが多い。」と`辞書には書いてあります。何とも難しそうですが的確な表現だと思います。開業小児科にはかぜひきましたと言って受診されるケースがかなり多いので、「風邪薬を出しておきますね」という事も少なくはありません。結構甘い味がしますので、必要ないのに子どもから希望することも珍しくはありません。


 そこで、かぜに薬は必要なのでしょうかという疑問がいつも湧いてきます。4月から登園を始められたお子さんも多いと思いますが、急に咳や鼻水が出始めて止まらなくなります。いわゆる風邪薬なるものを出すのですが、これがまあ期待外れで効果があまりありません。その結果治らないということで耳鼻科を受診して、やれ抗生剤やステロイドを何種類も出されて、そして治ったので結局は耳鼻科の方が早く治るという事で小児科を受診しなくなるというのは日常茶飯事です。耳鼻科の先生を批判する訳ではありませんので、その点は誤解のないようにお願いします。素晴らしい先生もたくさんいらっしゃいますし、耳鼻科の先生に診察をお願いする場合もあります。ただ、ある耳鼻科の先生から「あいつは全く薬を出さないからダメだ」と陰で言われたこともありますが、それで出す事はありませんでした。


 何が言いたいかというと、かぜは結局のところいろんな薬を飲まなくても治るのではないかということです。いつも話すのですが、「しばらく飲んでも良くも悪くもならなければ、飲まずに様子見てもいいのではないでしょうか」と。でも中耳炎やひどくなるのを非常に心配される保護者の方はもいらっしゃいます。確かにかぜをこじらせて、気管支炎や肺炎、中耳炎になるケースは時々遭遇します。では、薬を飲んでいたら防げたかといえば、なかなかそうでもないようです。飲んでいても悪化する時はありますし、飲んでいなくても元気になる子はなります。いっぱい咳をして鼻をかんで出せば悪化しにくくなるはずです。小さいお子さんや年配の方は咳払いが下手なので、どうしてもかぜから気管支炎や肺炎になってしまいます。


 ではどうすればいいかと言うと、一番効果があるのは小さいお子さんでは鼻水を吸引してあげることです。特にかぜの場合は鼻水を吸引しましょうと多くの本に書かれるようになりました。お家では保護者の方が口で思いっきり両方の鼻をくわえて吸ってあげればいいかと思います。昔ながらの方法ですが、これが以外と効果あります。裏技はティッシュを鼻に突っ込んでわざとくしゃみをさせます。すると、くしゃみをしたと同時に鼻水が出てきます。


 昔はかぜでも制服の袖で鼻水を拭いて、かぴかぴの袖の服を着ていた子ども達がたくさんいました。でも、以外とみんな元気だったようにも思います。いろいろ病気をしてどんどん強くなっていくのが子どもだと思います。風邪は万病のもとと昔から言いますので油断は禁物ですが、元気ならば何でも薬を飲ませるというのではなく、なんとかして鼻水を出す工夫をしてみるのも必要かなと思います。

 薬を出さない小児科ですが、こんなことを考えているのだというのを少しでもわかって頂ければ幸いです。



【2014年5月】
よしもと小児科 吉本寿美

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