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第164話 今年を振り返って

小児科医のつぶやき|第164話 今年を振り返って

 今年もいろいろあった1年でしたが、それでも何とか年末を迎えることが出来ました。この2年間は普通ではない生活が続いていましたので、今年1年を皆さんはどう感じられたでしょうか。早く感じられた方もいらっしゃると思いますが、多くの方が長く感じられたのではないでしょうか。    


 当然ながら、当院も例年とは全く違う1年になりました。振り返ってみますと、年明けから例年流行するインフルエンザが全く流行りませんでした。流行らなかったというか、検査を本当に1例も行いませんでした。これには自分でもびっくりしましたが、改めて感染予防は人混みを避けて、手洗いうがいをきちんとすることだというのが証明された形になりました。そのため、インフルエンザの出現で減少するR Sウイルス感染症の患者さんがなかなかいなくならずに、この年末を迎えています。季節感が全く無くなってきました。その意味では、我々小児科医がこの季節にはこの病気が流行するというのをある程度予測して診察することが出来なくなってきました。この冬は少しずつ普通の生活に戻りつつあるので、インフルエンザの患者さんも出てくるのではないかと予想されています。ですので、ぜひインフルエンザワクチン接種を行って欲しいと思っています。接種すれば罹らないというわけではありませんが、重症化を防ぐことは可能かと思いますので。    


 ただ、インフルエンザワクチンも今シーズンはメーカートラブルで供給不足が予想されています。その他に今年もいろいろなワクチン問題が我々小児科医を悩ませました。現在も日本脳炎ワクチンは供給不足が続いていますので、制限をかけなければいけない状況です。来年春頃には改善する予定ですので、初回接種以外のお子さんは今しばらくお待ちください。そして、おたふく風邪ワクチンも半年程度供給出来なくなり、やっとこの11月から供給再開となりました。ですが、まだ十分量が供給されるわけではなく、入荷しても無くなってしまって予約を断らなければいけない状況が続いています。そもそも、未だに任意接種というのが何とも情けないことです。いい加減、おたふく風邪ワクチンを定期接種にして欲しいのですが、日本のワクチン行政はどうなっているのかと改めて思います。日本はこれまでに何度もワクチン問題で悩まされてきました。結局、最大の被害者は子供たちだというのを忘れてはいけないと思います。  


 最近になって、少しずつ受診されるお子さんも増えてきたように感じます。但し、以前のようにごった返すような状況になることはありませんし、恐らくこれからもないだろうと思っています。皆さんがしっかりと感染対策をされるようになったこと、発熱も少し待てば解熱することも多いというのを保護者の皆さんが理解されるようになったことが主な理由ではないかと思います。でも、これが本来の小児科の理想とする診療体系ではないでしょうか。待ち時間ばかり長くなって、3分診療と揶揄された時代から脱却する必要があると思います。最近は少しずつ話す時間も長くなってきて、しっかりと向き合える時間も出来てきたのは嬉しいことです。小児医療も転換の時期に来ていると思います。    


 来年こそは普通の生活が戻って欲しいと願っています。出来たらマスクなしの生活も戻ってきて欲しいのですが、それはすぐには難しいのかもしれません。でも、少しずつ子供たちのイベントが普通に開催されて欲しいですし、部活動なども制限なく開催されるように願っています。まだまだ油断は出来ませんが、今年もありがとうございました。少し早いですがどうぞよいお年をお迎えください。     



【令和3年12月】
よしもと小児科 吉本寿美

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