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第131話 風邪は万病の元

小児科医のつぶやき|第131話 風邪は万病の元

 今シーズンは、インフルエンザの流行もあっという間に拡がってあっという間に収束した感があります。しかも、例年と違ってB型の流行が全くありません。熊本県の警報もいつもより数週間早く終わりました。そのあおりをくってか、新薬「ゾフルーザ」は返品の嵐だそうです。メーカーは休日返上で増産していたようですので、ちょっと期待はずれだったのでしょうか。社会全体でみれば、病気が流行らないというのはいいことではありますが。    


 かくいう自分はというと、先月から咳が止まらず困っておりました。発熱はないもののずっと咳が出た状態でしたので、診察に来られた方はお気づきかもしれません。自分でもここまで長引いたのは初めての経験でした。以前百日咳に罹患した時も、ここまで長引くことはありませんでしたので。そのうち治るだろうという思いでしたが、そうこうしているうちにいわゆる副鼻腔炎を併発してしまいました。通常は抗生剤を飲むことも処方することもしませんが、さすがに今回は顔面の痛みや出血を認めるようになり、重症という判断のもと止むを得ず使用しました。そのおかげで、副鼻腔炎の方は何とかコントロール出来ましたが、咳は相変わらず続いていました。そして、とうとう身体が悲鳴をあげてしまいました。先日咳をした時に、「バリッ」という音と共に背部に激痛が走ったのです。そうです、いわゆる肋骨骨折を起こしてしまったのです。話には聞いていましたが、まさか自分にこのような災いが降りかかってくるとは思いもしませんでした。治療法も安静以外にはなく痛みとの戦いでしたが、その後は少しずつですが痛みも軽減して体調も回復しております。ほんと今年は最悪の2月でした。医者の不養生とはよく言ったものですが、まさしくその通りで、なんともお恥ずかしい限りです。    


 で、今回は何を伝えたいかというと、やはり風邪を甘く見ちゃいけませんよということです。「風邪は万病のもと」と昔からいいますが、今回は身を以て体験しました。日頃から、風邪が原因で気管支や肺炎になるお子さんはよく経験します。また、こじらせて中耳炎や副鼻腔炎を併発することも珍しくはありません。入院になるケースもあることから、風邪さえ引かなければよかったのにという思いをすることは珍しいことではありません。風邪という診断は比較的簡単ではありますがその後の経過は多種多様ですので、たかが風邪ということで片付けてはいけませんね。きちんと治療をしないと、今回のようなとんでもないことになります。  


 子どもたちには、風邪を引いたらダメだよと言っている立場のものが、風邪をこじらせて骨折までやっていてはどうしようもありません。胃腸炎にはたびたび罹患していましたので気をつけてはいましたが、肋骨骨折は想定外でした。この経験は、今後の指導をするのに必ずや生きてくると思っていますし、生かさなくてはいけません。きちんと治さないと、こんな風になっちゃうよというのも説得力がありますね。今回は本当に良い経験をしたと思っていますし、ほんと風邪からこんな風にこじれていくのだなというのがわかりました。今後は皆さんの健康を守る立場にあるものとして、医者の不養生にならないように十分気をつけたいと思っております。        


 今回改めて、風邪というのは本当に怖い病気で、肋骨骨折はとんでもなく痛いということが身を以て体験できました。



【2019年 3月】
よしもと小児科 吉本寿美

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