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第140話 今年の総括

小児科医のつぶやき|第140話 今年の総括

 今年もこの記事を書く時期になりました。今年は例年になく11月からインフルエンザの流行が始まっており、年末年始もいつも以上に注意が必要な年の瀬になりました。ワクチンを接種したのに発症したというお子さんが増えていますので、ワクチンを過信することなく、手洗いうがいといった予防に努めましょう。    


 振り返ってみますと、今年は自然災害の多い1年だったように思います。特に台風被害は全国にかなりのダメージを与えました。いつもならば九州地方が大きな被害を被るのですが、今回は関東や東北地方に甚大な被害をもたらしました。熊本地震の際もそうでしたが、残念ながら時間の経過と共に現地からの報道が少しずつ減っていきます。しかし、被災地ではまだまだ多くの困難が未解決のまま残されているのではないかと思います。我々はこれからも被災地のことを忘れないことが大事ではないかと思います。     


 そして相変わらず今年もワクチンの供給問題が起きました。MRワクチンはずっと出荷制限がかかってしまい、十分な供給がない状態が続きました。そして、国が成人男性の風疹対策を打ち出しましたが、予想通り検査を受けた方は30%にも満たない状況のようです。そのために増産したワクチンが今度はダブついてしまっているようです。この後手後手の対応は何とかならないものでしょうか。B型肝炎ワクチンについても、相変わらず十分な供給量がない状態です。国は遍在しているから十分足りていると言っていますが、決してそんなことはないと思います。どこの小児科医も何とかやりくりしながら頑張っています。もっと、行政は現場を見て欲しいですね。結局被害を被るのは子供たちなのですから。     


 だた、子宮頸がんについては嬉しいことに全国的に接種しましょうという動きが全国の小児科医の先生から広まってきて、当院でも積極的に接種を始めました。もちろん、副作用?と言われているようなものは全くありません。名古屋のグループがワクチンと異常行動との関連はないという論文を出しましたが、大丈夫という報道は一切流れません。もちろん定期接種ですので無料で接種できるのですが、それさえもご存知でない方が多いようです。中1から高1までが無料の対象ですので、高校2年生からは自費接種になります。もっと早く知っていたら無料で接種出来たのにと悔やまれる保護者の方も少なくありません。もちろん、子宮頸がんがワクチンだけで予防出来る訳ではありませんので、検診もワクチン同様重要になってきます。そのようなことを伝えることも小児科医の役割なのかもしれません。  


 地震からやがて4年が経過して、熊本も以前の様子に戻りつつあります。南阿蘇や西原村のお子さんの受診も少しずつ増えたように思います。来年には国道57号線も開通して、もっとアクセスが良くなると思いますので懐かしい顔に会うことが出来るのかもしれません。そして、いよいよ来年は東京オリンピックが開催されます。海外から来日される方も多いと予想されています。そのため輸入感染症の拡大が懸念されていますので、今まで以上にワクチン接種の啓蒙活動をやる必要性を感じています。当院は引き続き来年も抗生剤の適正使用と予防接種の推進という2つの大きな柱を中心に診療を行っていきたいと思います。まだまだ抗生剤の適正使用についてはきちんとなされていないと感じることが多々ありますので、正しい情報を発信していきたいと思います。

それでは少し早いですが、どうぞ良いお年をお迎えください。
来年もスタッフ一同宜しくお願い致します。



【令和元年 12月】
よしもと小児科 吉本寿美

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