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第108話 再会

小児科医のつぶやき|第108話 再会

 小児科医になってやがて26年になるでしょうか。平成3年に大学病院で研修医として働きはじめて、幾つかの病院で研修を行ったのちに平成15年に現在のクリニックを開業しました。その間には幾つもの思い出に残る患者さんとの出会いがありました。逆にほろ苦い思い出も時にありましたが、全ての経験が今の自分を支えているのだと思います。出会った患者さんには本当に感謝です。そして、最近嬉しい再会がいくつかありましたので、ちょっとだけご紹介します。


 一人目は大学病院の研修医時代に受け持ちしたMちゃん。可愛らしい宮崎の女の子で、遺伝性球状赤血球症というちょっと聞きなれない病気でした。最終的には脾臓を摘出して病気は治癒しました。その後はご両親と年賀状のやりとりをする程度でしたが、ある時CAとして就職しましたと連絡がありました。その後、空港で会ったりしましたが現在は結婚してハンガリーに転勤し、先日帰国したみたいです。SNSで繋がっていまして、この度無事に出産されましたが、赤ちゃんには幸い病気の発症はなかったようで安心しました。


 次のお子さんも大学病院時代に受け持ったAちゃん。初発の白血病でしたが、リスクも低くすんなりと寛解治癒に至りました。ただ、小学生の女の子でしたので治療中はそれなりに対応が難しいこともありました。大学を辞めてからは連絡することもなかったのですが、先日お母さんと二人でクリニックに挨拶に来られました。何でも就職が決まったとの事で、履歴書に病気のことを正直に書いた方がいいかどうかという相談でした。書いても昇進には影響ないから大丈夫だよと話をしたら、安心して帰られました。今は綺麗なお嬢さんになっていましたが、彼女には僕はどう映っていたのでしょうね。


 最後は日赤時代に受け持ったRちゃん。紫斑病性腎炎でしばらく外来でも経過をみていました。なぜ覚えているかというと、彼女はいつもお父さんと受診していました。実はお父さんもある病気で日赤に通院中でした(その3年後に亡くなったそうです)。今回はたまたま里帰り出産で、双子のお子さんを連れて母親として来られたのですが、「先生は日赤にいらっしゃいましたか?」と聞かれたので、「だいぶん昔にいましたよ」と言うと「私は先生の患者でした」と。「ん?、名前は?」と聞いて直ぐに思い出しました。Rちゃんもまさか覚えているとは思ってなかったのでしょう。偶然とはいえ、びっくりするやら嬉しいやらでした。


 この他にも幾つも嬉しい再会を経験しました。医者になって25年以上が経過すると、当時のお子さんも大きくなって親として再会する事も出てきました。これこそ小児科医冥利につきます。なかなかこのような経験は他では味わうことの出来ないことではないでしょうか。当時は若くてあまり経験もなかったので、きちんと対応できていたかというのが不安ではありますが、こうやって再会できたのはこの上ない喜びです。これからはもっとこのような出会いが増えるように思います。その時に、「あの時は〜」と言われないようにしていかなくてはいけませんね。


 なぜか、ここ最近嬉しい出会いが続きました。このような出会いがもっと出来るようにこれからも頑張っていきたいと思います。



【2017年 4 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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