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第63話 マスコミ報道と医療

小児科医のつぶやき|第63話 マスコミ報道と医療

ここ最近、ワクチンの問題が世間を賑わせています。毎度毎度の事なのでまたですかという感じですし、こうも続くとうんざりとします。混乱するのは現場ばかりで、ワクチン不足で非難の的になるのも我々現場で働くものです。日本の偉い役人の皆さん、なんとかならないものですかね。


まずは風疹問題です。ついにワクチンの出荷制限も始まりましたが、果たしてワクチンは不足するのでしょうか。不足しそうなら、どうして先にそうならないような手立てを行政は出来なかったのでしょうか。マスコミが不足すると報道して煽っているようにも思えますが、実際のところはどうなのでしょうかね。新型インフルエンザの時も結局は大量に余って、国が買い上げるというお粗末な結果になったのを覚えておられるでしょうか。風疹ワクチンは大切なワクチンであるのは間違いないのですが、どっかの大臣が発言したように水痘やおたふく風邪に比べたら患者数は少ないので、今は国としての対策を講じないとのことのようですが。ならば、患者数の多い水痘やおたふく風邪のワクチンは国が何とかしないのでしょうか。どちらも合併症や後遺症で苦しんでいる方がいらっしゃるのに、こっちのワクチンは未だに任意接種ですがこれでいいのでしょうか。


お次ぎは、子宮けいがんワクチンの問題。国は積極的接種勧奨の中止の方針を打ち出しましたが、これって何でしょうか。接種してもいいけど、こちらからは勧めませんよとのことでしょうか。となれば、病気になったら「接種するなとは言ってない」と答えられるし、副反応が起きたら「接種しろとは言ってない」と、どうでも逃げる事が出来ます。マスコミもひどいもので、痙攣しているような映像ばかり流しています。それをみたら誰でも接種はしたくなくなりますよね。ならば、がんになった患者さんの事はどうなったのでしょうか。接種をすれば防ぐ事は出来た可能性もあると思いますが、そのことについては全く報道されません。実際に接種後の症状で悩まれている方はお気の毒だとは思いますが、ちょっと偏った報道だなと個人的には思います。


ワクチンの問題では、副反応が起こるとマスコミは飛びついて報道します。ですが、ワクチン接種が再開されるときにはほとんど報道されません。ヒブや肺炎球菌の問題の際にも、ワクチン接種のあとに亡くなったとでかでかと報道はされましたが、その原因のほとんどが突然死だったことについての報道はありませんでした。今や小児の細菌性髄膜炎はワクチンのお陰でほとんどいなくなったことも報道はされません。こういった報道がされないのは、ネタとしては面白みにかけるのからでしょうか。


毎日、いろいろなニュースが飛び込んできます。我々は一方的に受け身で情報を得ています。見出しが面白ければ当然飛びつきますが、時間がなければ見出しのみで詳しい記事にまで目がいくことはありません。映像だって、インパクトがあれば目に焼き付きますし、それは自分の思考に少なからず影響を与えます。マスコミ報道は公平な視点で見る必要がありますし、そうしなくてはマスコミに操られてしまうことにもなりかねません。今回の一連の報道を見ながら、疑問に思う事も多くありました。どうか、みなさんも報道されていること全てが正しく事実を伝えている訳ではないということを肝に銘じて、正しい判断をされることを望んでいます。



【2013年7月】
よしもと小児科 吉本寿美

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