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第116話 今年も終わりますが

小児科医のつぶやき|第116話 今年も終わりますが

 熊本地震が発生して1年半以上が経過しました。余震もあまり感じることがなくなり、地震のことも記憶から少しずつ忘れ去られていっているように感じます。交通アクセスも少しずつ復旧して、復興へ一歩ずつ進んでいるように感じます。ところが、その一方でまだまだ手付かずのところもあり、元の熊本の姿に戻るのにはあとしばらく時間がかかるようです。今年も早いもので年の瀬になりました。      


 今回の地震は、我々の診療にも少なからずの影響を与えました。日本脳炎ワクチン、B型肝炎ワクチンの供給に支障が出たのは、製造工場が被害を受けたこともあり理解できます。想定外の事態でしたので、この状況は仕方ないと思います。ところが、今年もワクチンの供給問題に悩まされることになろうとは、予想していませんでした。実際に麻疹風疹、インフルエンザワクチンの供給が滞ってしまいました。先月のつぶやきにも書きましたが、日本では、いつも同じことが繰り返されています。被害を被るのは、他でもない子ども達なのです。ワクチン後進国の汚名返上のためにも、国家主導でワクチン行政を進めていかなければ、今後も同様の問題が繰り返し生じることになるのではと危惧しています。まさかと思いましたが、今年もワクチンの問題にはいろいろと苦労させられました。


 ただ、今後は二種混合ワクチンが三種混合ワクチンにそろそろ変更されるという、喜ばしい変更も予定されています。実際に、今年も当院では多くの百日咳の患者さんを診断治療しましたので、少しでも減少してくれれば嬉しいですね。製造認可は降りたと聞いていますから、これから早めの手続きをお願いしたいところです。そのうち、5種混合ワクチンも登場することが予想されていますので、こちらも認可が待たれるところではあります。


 あと1つ大きな出来事は、国が抗生剤を減らすようにという指針をやっと?打ち出したことです。当院では不要な抗生剤を使わないというのは当然のことではありますが、国の指針は2020年までに抗生剤の内服処方を50%減らしましょうというものです。膿性鼻汁(青っ鼻)には効果なし、中耳炎を予防する効果もなしと明言しています。当然のことではありますが、今後は小児科以外の先生も抗生剤を処方される頻度が減少することが期待されています。抗生剤を減らすのは、小児科医だけでは限界があります。僕らが頑張っても、小児科以外の先生がたくさん抗生剤を処方されたら目標は達成できません。是非とも指針に従って必要最低限の抗生剤処方と、不要な抗生剤は処方しないという診療方針をお願いしたいと思います。特に小児ではワクチンの効果もあり、抗生剤が必要な疾患はかなり少なくなりましたし、重症の細菌感染症も少なくなったと実感しています。    


 ワクチンを勧めていくのも、抗生剤を処方しないというのも時間がかかり、説明が面倒だなと思うこともないわけではありません。ですが、ワクチンを勧めていくのはお子さんの健やかな成長を助けるためですので、おたふく風邪をはじめ任意接種についても出来る限り多くのお子さんに接種していただけるよう、これからも粘り強く説明を続けていこうと思います。また、抗生剤が不要であるというのも徐々に浸透していっていますので、今後もぶれずに説明を続けていこうと思います。そのためには、保護者の皆様のご理解も必要となってきますので、これからもご協力をお願いいたします。

今年もお付き合いいただきありがとうございました。それではどうぞよいお年をお迎えください。



【2017年 12 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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