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第39話 氾濫する情報について

小児科医のつぶやき|第39話 氾濫する情報について

それにしても、今年の梅雨ときたらものすごい雨でしたね。ここまで降ることはあまりないので、びっくりしました。そのような中でも、小さいお子さんを雨の中抱っこして受診してくださる保護者の方にはいつもながら頭の下がる思いです。予防接種も予約されている方は、ほとんど時間を守って受診してくださいますので、こちらとしても非常にありがたく思っております。


予防接種といえば、先月熊本で予防接種後の死亡例の報道がありました。接種された先生は、実は僕の同級生でした。直接本人から聞いた時は驚きましたが、その後ご遺体は解剖をされて乳幼児突然死(SIDS)の可能性が高いということだったようです。ですが、数日後に全国で報道された新聞の記事には、見出しに「同時接種で…」みたいに書かれていました。全国紙でも同様の見出しだったと聞いています。こんな風に書かれてしまえば、やはり同時接種を控えようかなという気持ちになるのは、親としては仕方ないことだと思います。


不幸にして、2ヶ月の赤ちゃんが亡くなったのは事実なのですが、予防接種で亡くなったわけではないのに、どうしてメディアはこうも騒ぎ立てるのでしょうか。特に日本のメディアは、どうして予防接種のあとに少しでも何かあれば、「そらみたことか」といったような記事を書くのでしょうか。以前の日本脳炎ワクチンの際にも、大騒ぎした結果として接種漏れのお子さんが今も多数おられます。こういうことだから、いつまでも日本の予防接種行政は遅れているのです。Hib 、肺炎球菌ワクチンの接種再開の記事の扱いは、中止になった時に比べるとかなり小さかったように思います。


このように、マスメディアの影響は想像する以上に絶大なものがあります。ネット社会の現代では、僕らよりも保護者の方が情報に詳しい場合もあります。ですが、誤った情報を鵜呑みにされていることもあるようで、「予防接種は危険だ」と書いているサイトも存在するようです。そこまでくると、ちょっとどうなのかなと思います。情報はどうしても受け身になってしまう傾向があるので、自分で正しい情報を選択していく必要があります。小児科のことについては、疑問に思う事はやはりかかりつけの小児科の先生に尋ねるのが一番ではないでしょうか。そうすれば、報道ではこうですが、実はこうなのですよと的確なアドバイスをもらえると思います。誤った情報を流す事はないと、自分自身も含めて思っていますが。


いずれにしても、このように情報のあふれる時代にはどのような情報を選択していくかというのが非常に重要になってくると思われます。正しい情報を入手して、間違った情報に振り回されたりしないように、お互い注意したいものですね。こちらも、正しい情報や最新の情報を発信できるように、常に情報を整理しなくてはいけないと今回改めて思った次第です。


【2011年7月】
よしもと小児科 吉本寿美

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