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第78話 いよいよ秋ですが

小児科医のつぶやき|第78話 いよいよ秋ですが

 今年の夏はどこかに行ってしまいましたね。夏の暑さを感じる事も少なく、既に朝夕は冷え込んで一気に秋の気配です。スポーツの秋とか食欲の秋とか言われますが、皆さんはどちらでしょうか。自分はどちらもですが、最近真剣にダイエットに取り組み始めました。この期に及んでとも思われるかも知れませんが、人に痩せなさいと指導するにはまずは自分が太っていてはどうしようもありません。しかし、この年齢ではすぐに効果が出るはずもなく、減量にちょっと苦労しております。同じ悩みを抱えている同士の方々、ボチボチ頑張りましょう。


 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、数年前から菊池郡市の小学生と中学生を対象に肥満健診が始まりました。結構肥満のお子さんが多いのには驚きました。既に脂肪肝で肝機能障害を認めるお子さんや、高血圧のお子さんもいらっしゃいます。このような場合には早期の医療の介入が必要となります。逆に中には極度のやせのお子さんもいらっしゃいます。実際に診察していませんのではっきりしたことはわかりませんが、食べても太らない体質のお子さんであればいいのですが、無理なダイエットをして痩せているお子さんの可能性もあり、そちらも心配ではあります。このようなケースでは心のケアも必要となってくるため、一筋縄ではいきません。


 では、肥満解消にはどうすればいいか。答えは簡単で、いっぱい食べなければ必ず痩せます。ですが、育ち盛りの子どもが食べないわけにはいきません。肥満の子に共通しているのは、間食が多いとか早食いが多いということです。朝昼はしっかり食べて夕食は腹八分目にすれば、少しずつですが効果は現れます。日本の食習慣は夜に豪華な食事をする傾向にあります。これだとどうしても太りやすくなります。またゆっくり食べるということも大事です。


 それと体を動かすというのも忘れてはなりません。肥満のお子さんの話を聞くと、食べてごろごろして生活するケースが多いようです。どうしても太ってしまうと動くのが億劫になってしまいます。昔と違って安全神話が崩壊しつつある日本ですので、簡単に外で遊べとは言い難い時代にはなってきましたが、それでも家の中でゲームやパソコンに夢中になる子ども達には違和感を覚えてしまいます。


 ただ、肥満の問題は先進国だけの問題ではなくなってきているようです。むしろ発展途上国の方が深刻だと、海外で活躍する同僚の先生から聞いた事があります。歩いて登校することがなくなってきたのが原因だそうです。そのため、その先生は海外で肥満の問題に取り組むことになっていると話されていました。まさかとは思いましたが、これが世界の現実だそうです。


 どうしても食欲が増す時期になりました。大人も子どもも美味しく食べるのは結構なことなのですが、「過ぎ」はいけません。太るのは簡単ですが、痩せるのはかなり難しいと実感しています。運動するにもいい季節になりました。一気にダイエットすればリバウンドがきますので、ゆっくりでいいですからまずは何かを始めてみませんか。時間がないと言ってしまえばそれで終わりです。「時間は作るものだよ」という言葉、これをいつも忘れないようにしています。



【2014年10月】
よしもと小児科 吉本寿美

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