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第112話 備え

小児科医のつぶやき|第112話 備え

 今年の梅雨は空梅雨なのかなと思っていましたが、最後にやはり大雨が降ってしまいました。その影響で福岡、大分では甚大は被害が出ましたし、他の地域にも被害が出たようです。熊本地震を経験した者としては、他人事ではありません。亡くなった方も多数いらっしゃいますし、インフラがかなりの被害を受けたようです。現地は想像以上の被害のようで、言葉もありませんが1日も早い復興を願わずにはいられません。昔からは考えられないような気候の変化が起きているように思います。なので、備えがあっても今回は被害の拡大を防ぐのは難しかったのではと思いますが、少しずつ復興に進んでいくことを、心より祈っております。        


 備えといえば、小児科でよく経験するのが誤飲という事故。これは未然に防ぐことが可能です。病気を防ぐことは難しいのですが、事故は注意さえしておけば未然に防ぐことが出来ます。誤飲のお子さんを診察することは時々ありますが、その場合は我々の仕事は保護者に厳重注意を行うということになります。これまでに死亡事故に繋がる誤飲事故も経験しましたし、開業後も救急病院に紹介して全身麻酔下に異物を取ってもらったケースも数例ありました。子どもは想像も出来ないことをやってしまうものです。つい先日も、瓶に指を入れて取れなくなったというお子さんが受診されました(幸い意外とすんなり抜けましたが)。どうか、子どもの手の届くところには、小さいものや危ないものを置かないようにしてください。


 病気を防ぐのは難しいと言いましたが、予防接種で防ぐことが出来る病気もかなり増えてきました。予防接種後進国と揶揄されていた日本ですが、何とか先進国に追いついてきた印象があります。おかげで細菌性髄膜炎の患者さんはほぼいなくなりました。またB型肝炎ワクチンも1歳未満は定期接種化されましたので、日本全体の患者数が減少するのを期待したいものです。ただ、おたふくかぜワクチンは未だに任意接種の扱いで、日本ではほとんどの国が採用しているMMRワクチンを接種することが出来ません。子宮頸がんワクチンも、せっかくの定期接種ですが副反応とされる映像が流されるため、接種する人はいません。世界中で日本だけがなぜこのようになってしまうのか、未だに理解に苦しみます。ガンを予防できるワクチンなのですから、どうか女性の方は接種をして欲しいと思います。ただ、僕らから接種を勧めることは出来ないというのが現状ですので、ここに書くのも適切ではないのかもしれませんが。


 何事にも備えが必要なのは誰もが十分理解しているところですが、なかなか日頃は忘れています。もしもの場合に備えて早め早めの対策を打つのが一番です。日常の突発的な出来事に対して、あらかじめ対策を練るというのは先の地震で思い知らされました。同じように子どもの病気もワクチンで防げる病気が増えてきました。公的補助がなく費用がかかるワクチンもまだありますが、しまったという思いをされるご家庭をたびたび見てきましたし、最近も経験しています。もっと早く接種していればといつも思いますので、事故同様子どもの病気についても備えを忘れずに予防できる病気は積極的に予防していきましょう。



【2017年 8 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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