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第25話 親離れと子離れ

小児科医のつぶやき|第25話 親離れと子離れ

この春から登園を開始されたお子様も多いと思います。最初の頃は、送る時に泣いてしまうお子さんも多かったのではないでしょうか。我が家の経験から言うと、長女は1週間程度、次女は1ヶ月程度は泣いていたと思います。それが、何かをきっかけにぱったりと泣かなくなりました。今もって理由は定かではありません。一方長男はというと、生後半年から登園を開始しましたので、保育園の先生に預ける時もあまり泣く事はなかったように記憶しています。それは楽ではあったのですが、あっさり行かれるのも親としてはかえって少し寂しいものでもありました。


いずれ子供は親離れをする時期がやってきます。それは成長の過程では避けて通れないものです。と同時に親も子離れが必要です。最近特に自分の子供が大きくなったのもあるでしょうが、小さいお子さんはかわいいなと思ってしまいます。ですが、子供が小さい時ってなかなか余裕がありませんよね。今にして思えば、もっと自分の子供が小さい時にいっぱい遊んであげたらよかったなと後悔しますが、こればかりは仕方ありません。同じ経験をされた方も多いのではないでしょうか。


今、我が家では子供たちはそれぞれ高校生が吹奏楽、中学生がバスケット、小学生が野球と違った部活動をやっています。週末は応援や練習試合で平日よりも多忙な日々を送っています。しかし、この生活が終わってしまうと何をしてよいかわからなくなる時期が来るらしいのです。まだ想像が出来ませんが、きっと週末はどうして過ごしたらいいのか困ってしまうのでしょうね。今は時間がないと言っているのですが、将来は時間がありすぎて困るのでしょうか。


こどもが小さい時期というのはそう長くはありません。あっと言う間に大きくなってしまします。よく「小さい時がいいよ~」と言われていたのが最近になって身にしみてわかるようになってしまいました。ですから、小さいお子さんのいらっしゃるご家庭では是非とも今を大切にして欲しいと思います。仕事が忙しくて週末くらいはゆっくりさせて欲しいとおもっていらっしゃるお父さん方も多いでしょうが、そこは今しかないと頑張って週末だけでも是非ともお子さんと楽しい時間を過ごしてみませんか。


今では週末ピクニックに行く事もなくなりました。何処かへ行こうかと言っても、子供たちは友達と遊ぶのが楽しいようで、誰もついてきません。だんだん一緒に行動する事はなくなりました。楽になったと言ってしまえばそれだけですが、結構寂しいものです。更には妻さえもついて来てくれなくなれば、これはもうどうしようもないですね。笑えない現実は目の前かもしれません。


出来る事ならば、10年前に戻って小さい子供たちともう一度楽しい時間を過ごせたらもっと可愛がってあげるのになあと思ってしまいます。我が家には赤ちゃんのいいにおいはなく、汗臭いユニフォームの匂いしかしなくなってしまいました。実は僕自身の子離れが一番出来ていないのかもしれませんね。


【2010年5月】
よしもと小児科 吉本寿美

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