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第110話 ほどほどがよろしいようで

小児科医のつぶやき|第110話 ほどほどがよろしいようで

 最近は男女平等が当たり前の世界になってきました。いろんな職業にも女性の進出が当たり前の時代ですね。我々の業界も同じで、近年は女性医師の割合が増えてきました。以前は学年全体の20%程度だったでしょうか。ところが最近は半数に迫るような勢いで、女性医師の割合がかなり増えているようです。特に小児科は他の科に比べて女性医師の割合が多くなっていますが、反対に外科系の診療科はまだそう多くはないようです。ただ、女性医師の場合は結婚出産という問題があって、一時的に休職を余儀なくされることもありますので、女性医師ばかりになってしまうと勤務体制などで困った問題が起きる可能性もあります。男女の医師がほどよいバランスで存在するのがベストなのですが、どの程度がいいのかは難しいですね。


 育児についても、最近は男女共同参画というのが叫ばれて、積極的に育児に参加したり、育休をとったりする父親が少しずつですが増えてきました。素晴らしいことではありますが、現在の日本の社会情勢ではやりたくても出来ない方のほうが多いように思います。お父さん方は、お母さんからの要求が強くなるケースもあるでしょうし、一方職場ではやらなくてはいけないことが多くて、板挟みとなって苦しんでいるお父さん方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、お母さんも育児に一生懸命で、頑張りすぎて燃え尽き症候群になってしまうことも多いようです。何事もほどほどがいいのですが、言うほど簡単ではないようです。


 外来に来られるお母さんの中には、本当に一生懸命育児に取り組まれて頑張っておられる方がいらっしゃいます。でも、なんでも完璧にやりたいという思いが強すぎてしまうケースもあるようです。祖父母からのプレッシャーもある場合には、頑張らざるをえないのかもですが。そういう時には「育児を長続きさせる方法は、適当にやることですよ」と話をします。適当という表現は適切ではないかもしれませんが、なんでも一生懸命完璧にやろうと思わないで欲しいということです。最初から完璧になんて出来るはずはありませんし、出来るのではあれば我々小児科医は必要ではなくなってくるでしょうから。


 育児書通りに育児がいけば、それに越したことはありません。ですが、そういくことはまずないでしょう。体重だって順調に増えるお子さんもいれば、なかなか増えないお子さんもいらっしゃいます。そうなると、母乳だのミルクだのという話になってきます。母乳だけで育児が出来れば一番いいのですが、早期に職場復帰しなくてはいけないお母さんにそれを求めるのは不可能です。ミルクも素晴らしいものですから、うまく使い分けたらいいように思います。周囲でいろいろ言う方もいらっしゃると思いますが、ほどほどに聞いておけばよくて、ある程度聞き流すのもいいことかもしれません。


 最近はインターネットの普及で、受診前にいろいろ調べられて受診される方も増えました。ですが、ネットには情報が氾濫しており、正しくない情報も記載されています。それを見て心配されるというケースも少なくはありません。どこまでネットの情報を信頼するのかというのは非常に難しいですが、ネットの情報は参考程度にするくらいがいいように思います。


 何につけても、極端というのはあまり好ましいものではありません。以外と難しいのですが、ほどほどというのが一番いいように思います。熊本地震の際にもかなり使われましたが、熊本弁で言う「出来たしこ」という表現は実に的を射た言葉ですね。



【2017年 6 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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