第202話 備えが大事
年末までのインフルエンザが猛威をふるった頃からは想像も出来ないくらいにのんびりした新年の始まりでしたが、果たして2月になってからはどうなっていくのでしょうか。例年1月というのは小児科の外来はのんびりしているのが普通です。本来ならば1月に入ってインフルエンザが流行し始めて、そこから外来が慌ただしくなっていくのですが、どうも今シーズンは違う印象があります。果たしてこの後にA型に続いてB型が流行していくのか、注意しておく必要がありますね。
ところで、早いもので能登半島地震から1年が経過しました。そして熊本地震からは8年が経過しましたのでそろそろ当時のことを忘れつつありますが、先日も医療センターの当直中に震度4の地震が発生しました。あちらこちらで突然鳴り響く携帯のアラーム音は何度聞いてもいい気持ちはしません。幸い大きな被害はありませんでしたが、今後は南海トラフ地震の発生も危惧されています。いつでも誰でも当事者になる可能性がありますので、日頃からの備えは怠らずにやっておかねばと改めて思った次第です。
備えるといえば、病気についても日頃からいざという場合の準備を怠らないことが大事だと思います。インフルエンザをはじめとする冬の感染症ではやはり手洗いうがいの励行、さらには十分な睡眠と栄養補給も忘れてはなりません。それから人混みなどでは、マスク着用というのも今一度考えてみることも大事かもしれません。幸い現在もマスクを着用しながら仕事をしていますので、目の前で酷く咳き込まれたりしても病気をもらうことは今のところないようです。もしかしたらブースター効果で軽く罹患している可能性もないことはないでしょうけど、マスクがある程度予防効果を発揮してくれているのは間違いなさそうです。
そして病気についての備えといえば、やはりワクチン接種ということになるでしょうか。今シーズン、熊本でもインフルエンザで小さなお子さんが1名お亡くなりになりました。インフルエンザによる出血性脳症だったようですが、残念ながらワクチンは未接種であったとのことでした。ワクチンを打っていたらどうなったかは分かりませんが、もしかしたら亡くなることはなかったのかもしれません。インフルエンザワクチンは、ご存知のように接種したらインフルエンザに罹患しないというワクチンではなく、あくまでも重症化を予防するワクチンです。なので、ワクチンを接種したのに罹ってしまったと嘆かれる方も少なくはありませんが、接種していなければもっと重篤な状態になったのかもしれません。ですので、このような方も意味がないと思わずにこれからもワクチン接種を続けられることを切望します。
他にインフルエンザ以外の病気としてこの時期に多いのが感染性胃腸炎なのですが、自分も含めて大人も簡単に罹患します。特に大人が罹患すると1週間程度はとても辛い日々を過ごさなくてはなりません。自分もこれまでに幾度も罹って辛い思いをしました。突然発症して、全身倦怠感はなかなか良くならないし、かといって特効薬もなく、整腸剤を飲みながら時間が経過するのを待つしかありません。特に2月、3月は流行するシーズンですから子どもたちだけでなく、大人の方もどうかお気をつけください。
ついつい自分だけは大丈夫と思ってしまいがちですが、熊本でも経験したように地震をはじめとする天災はいつどこで起こるかわからないようになってきました。自然の前には人間は無力です。そして病気も同じで、自分は罹らないと根拠のない自信を持っていらっしゃる方も多いのですが、絶対はありません。2月はいろいろと感染症が流行する時期ですから、日頃から備えを怠らずに流行が収まるのを待ちましょう。
【令和7年2月】
よしもと小児科 吉本寿美