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第151話 やめる勇気

小児科医のつぶやき|第151話 やめる勇気

 まだまだ世間ではコロナコロナと騒がれていますが、陽性者のほとんどの方が無症状の濃厚接触者ではないかと推測されます。特に小児の場合は98%が無症状だということですから、なかなか診断するのは難しいと思います。罹らないようにするために、まずは3密を避けましょうというのは何となく理解できます。ですが、なぜコロナだけがこうも取り上げられるのか、ちょっと分かりません。実際、インフルエンザで亡くなる方のほうが多いわけで、こちらは小児でも脳炎や脳症の危険があります。なのに、小児はワクチンを後回しにみたいに言われても、殆どの小児科医は既に10月初めから接種をやっているわけです。また、マスクだって何となくしていたら良さそうだみたいなことで、やっていなければ犯罪者扱いです。マスクの弊害(表情が消えて、コミュニケーションが上手く取れないとか)は語られないまま、今に至っているのは非常に残円でなりません。外せるところでは外して、上手にコミュニケーションを取ることも、子供たちにとっては大事なことではないかなと思いますが、現状ではマスクをやめるのはなかなか難しいようです。始めるよりもやめる勇気の方が何倍も難しい状況のようです。      


 同じようなことが、抗生剤についても言えます。以前は発熱があれば出すのが当たり前だった日本の医療体制でしたが、耐性菌の問題が注目されるようになって、やっと国も重い腰を上げて必要のない抗生剤は出さないようにしましょうというようになってきました。自分も現在は抗生剤をほとんど出しませんが、ここに至るまでは非常に苦労の連続でした。受診される方は以前だと多くが薬を求めてという時代でしたので、解熱剤くらいしか出さない自分の診療方針は否定されることも多かったように思います。当然、「この病院はダメだ」というレッテルを貼られて去っていかれた方も多いように思います。それでもブレずに頑張ってきたことで、徐々に理解が深まり今では抗生剤を下さいと言われる方はほとんど受診されなくなりました。飲まなくても治るのだということが分かっていただけるようになったのだろうと思っています。時には関東近辺からも相談の電話がかかって来たりしますので、抗生剤を使わなくなったというのがやっと浸透してきたのだなと実感します。    


 マスクだって抗生剤だって、何の躊躇もなく使うのは簡単なことだと思います。その方が非難されることもありませんし、手っ取り早いと思います。ただ、それらが本当に必要なのかというのをそろそろ考える時期に来ているようにも思います。マスクなんかするのが当たり前だろうと言われればそれまでですが、本当にマスクだけで感染を防ぐことが出来ると思って使っている方って、どの程度いらっしゃるのでしょうか。本来マスクは、咳エチケットで付けるということではなかったでしょうか。抗生剤だって、昔は細菌性髄膜炎が怖くて発熱に処方していましたが、ワクチン接種によってそれがほとんど発症することがなくなった今、たかが青っ鼻くらいで飲む必要があるんでしょうか。  


 コロナの流行状況にも依るかとは思いますが、マスクも抗生剤と同じように必要だと思われていたけど、実はそうでもなかったのだという時代が早く来ないかなと思っています。  



【令和2年11月】
よしもと小児科 吉本寿美

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