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第126話 遂にこの時がやってきた

小児科医のつぶやき|第126話 遂にこの時がやってきた

 開業してはや15年。遂にこの時がやってきました。何だ?と思われるのではないでしょうか。大したことではないのですが、遂に予防接種の収入が一般診療の収入を上回ってしまいました。いずれはこの時がくるのではというのは数年前から予想していましたが、ここまで早い段階でこの時が訪れるとは予想していませんでした。小児科にとっては画期的なことなのです。


 開業当初はワクチンの種類も今までのようにそこまで多くはなく、同時接種をすることもほとんどありませんでした。ところが、最初にヒブと肺炎球菌が定期化され、その後水痘とB型肝炎ワクチンも定期接種となり接種するワクチンの数が増えました。そのおかげで、重症の細菌感染症は減少しましたし、水痘の患者さんを診察することはほとんど無くなってきました。そのうち、水痘をみたことがないという小児科医も増えてくるのではないでしょうか。このような流れから、ワクチンがどんどん増えていきましたのでその恩恵で病気になる子どもさんは減少して、一般診療の収入よりワクチンの収入が増えたという仕組みが出来上がりました。今後はますますこの傾向は強くなっていくのではないかと予想されます。


 但し、まだワクチンとしては不十分なところもあります。なんといっても、日本はおたふく風邪ワクチンがまだ定期化されていないというのが、非常に問題です。難聴のお子さんが数百人いるという調査結果が、耳鼻科の先生から報告されました。ワクチンさえやっていれば予防出来たと思われますので、先進国としてはお恥ずかしい限りです。それから子宮頸がんワクチンの件も、非常に残念でなりません。接種後に副反応が出たから積極的接種は見合わせるという国の方針は恐らく今後も変わらないと思います。接種と副反応は関係ないという、名古屋の先生が調査された結果はほとんど報道されませんし、子宮頸がんになった方については置き去りにされた格好です。実際、罹患される方が多いという事実を国はどう受け止めているのでしょうか。


 その他にも、ロタワクチンの定期接種化、百日咳予防のためのワクチンの見直し、B型肝炎ワクチンの定期接種対象者の拡大など、国家がどんどん主導してやっていって欲しい問題がたくさんあります。費用対効果は絶対にあると思いますが、なかなか国は重い腰をあげてはくれません。むしろ未だに及び腰の姿勢です。ですから、不要な医療費が減少しませんし、小児科医も感染症に対して頭を悩まさなくてはなりません。現在もおたふく風邪の患者さんはいますし、百日咳のお子さんも時々遭遇します。ワクチンで予防出来る疾患は何としても防ぎたいと思いますが、今でも罹ったほうがいいという間違った考えを持っていらっしゃる方も存在しますので、この辺りは小児科医が中心となって改めていかなくてはいけない問題だと思います。    


 今後はますますワクチンによる予防医学が主流となり、その恩恵を受けて一般診療は感染症中心の診療から脱却することになろうかと思います。そうなれば医療費削減にもつながり、診療形態も3分診療と揶揄される状態から脱却出来るのではないでしょうか。小児科も、昔みたいに何百人受診したという時代ではなくなり、一人一人をじっくり診察出来る理想の時代が訪れる日もそう遠くはないと思っています。



【2018年 10 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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