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第115話 混迷する日本のワクチン問題

小児科医のつぶやき|第115話 混迷する日本のワクチン問題

 インフルエンザワクチンの接種が今年も始まりました。ところが、今年はワクチンの出荷数が少なくなってしまい、当院にも入荷する本数が制限された影響で、今のところ新規の予約が出来ない状況となっています。今後も追加の入荷予定が見込めず、ご迷惑をかけているところです。ワクチン株を急に変更したことが原因のようですが、これは国からの指示だったようです。本当に現場では不足しているのですが、いつものごとくワクチン不足は偏在がなければ問題ないとの報道がされています。そう言うのであれば、ぜひお役人さんは現場に赴いて欲しいですね。机上の空論ではわからないことが、臨床の現場に来られたらはっきりしますので。でなければ、我々臨床の第一線で働いているものが結局はいつものように悪者になってしまいます。      


 また日本脳炎ワクチンも、依然としてワクチン確保が困難な状態がずっと続いています。来年の2月頃からは流通するようになるとの見通しですが、果たしてどうなのでしょうか。化血研の問題が影響しているというのもありますが、それだけではなく北海道で定期化されたこと(今ですか?と思いますが)、6ヶ月からの接種をされるお子さんが全国的に増加したことで、需要と供給のバランスが完全に崩れたことも原因のようです。特に九州は危険な地域ですので、接種がいつまでも出来ないというのは恐ろしいことですから、1日も早い接種再開が出来ることを願っています。


 それから、MRワクチンも実は未だに出荷制限がかかっており、注文しても必要な分のワクチンが確保出来ない状況です。いつになったらこの状況が解消するかはわからないとの事。とある1社のワクチンを接種しても抗体が上昇しないというのが判明し、その会社のワクチンを製造することが出来なくなってしまい、もう1社に注文が殺到したのが原因とされています。ですが、すぐに生産量を増やす事は出来ないという状況です。だいだいMRワクチンを採用している事自体に問題があると思います。なぜ、MMRワクチンを日本は採用しないのでしょうか。先日も耳鼻科学会からおたふくによる難聴の統計が発表され、数百名の難聴者がいることが判明しました。早くMRワクチンからMMRワクチンへ切り替えて欲しいものです。


 さらには定期化されたB型肝炎も、現在は海外1社のみの製品の供給になっています。地震の影響で化血研の工場が被害を受けて出荷出来なくなったことが原因です。海外製品は0.5mlの製品しかなく、0.25mlを使っても残りを廃棄しなくてはならないというのは、クリニックにとってはかなりの痛手です。こちらも化血研の工場の再建が急がれているようで、来年あたりには解消されるのではないかということです。    


 この他にも、日本では子宮けい癌ワクチンを積極的に接種出来ないという問題があり、先進国と言われる日本でこれだけの問題が発生しています。ワクチン後進国と揶揄される日本ですが、なぜこのようなワクチンの問題が毎年起きてしまうのでしょうか。企業任せで、国が主導してワクチン行政を行っていないことが原因ではないかと思います。現場は足りないといっているのに、国は足りていると簡単に説明する。この状況が改善されない限り、ワクチンの問題はこれからも起き続けると思います。その都度迷惑を被るのは我々開業医ですが、一番の被害者は実は接種を受けることが出来ない子ども達ではないでしょうか。1日も早く、国の主導でワクチン行政が進んでいくことを切に願います。



【2017年 11 月】
よしもと小児科 吉本寿美

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