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第171話 ワクチンと抗生剤について

小児科医のつぶやき|第171話 ワクチンと抗生剤について

 最近ではコロナウイルスワクチンのこともあまり話題にならなくなってきて、接種するお子さんも少しずつ減少してきました。小児以外についても副反応などの観点から接種する方が減少していて、ワクチンを廃棄しなくてはならない自治体も出てきたようです。現在当院で治験を行っている不活化ワクチンが市場に出てくれば、副反応も非常に少ないようですのでもう少し接種する方も増えてくるのではと思います。それと同時に、コロナウイルスに対する1日も早い治療薬の開発も望まれるところです。    


 ところで現在小児医療の現場では、以前に比べて髄膜炎や嘔吐下痢を始めとする重症の感染症がかなり減少してきました。理由は単純で、様々なワクチンが普及したことによるものです。特に細菌性髄膜炎は、熊本でも最近は全く患者発生がないようです。以前はこの病気が恐ろしくて、発熱のお子さんに抗生剤を処方していたと聞いたことがあります。しかし、細菌性髄膜炎の発症がなくなった今では、発熱のお子さんについては最初から細菌感染を疑う必要性は少なくなってきたように思います(但し小さいお子さんの尿路感染症を忘れてはいけませんが)。なので、子どもの発熱に対してはいきなり抗生剤を処方する必要はほとんどないということになります。      


 ただし、依然として抗生剤神話?みたいなものがあるのも事実です。開業当初からすればかなり頻度は少なくなってきましたが、発熱で受診された際に抗生剤を処方しなかったところ、「なぜ抗生剤を出さないのか」と言われたこともありました。また保育園の先生方の中には、鼻水がひどい場合には小児科より耳鼻科に行ってくださいと指導されるケースが今もかなり多いようです。耳鼻科の方が薬が効くというのが理由のようですが、そんなことはありません。むしろ、いまだに不要な抗生剤を処方される耳鼻科の先生が多いのには、びっくりします。小児科医も反省すべき点が無いわけではありませんが、耐性菌を減らすためにもお互い力を合わせて抗生剤処方を減らす努力をしていかなければと思います。  


 20年ほど前の開業当初は、まだまだ重症の細菌感染症が多かった印象があります。考えてみればその頃は、今のように予防接種の種類が多くはありませんでした。夜間救急外来も数時間待ちは当たり前の状況でした。それから少しずつ接種するワクチンの種類も増えてきた結果、例えば酷い中耳炎も以前に比べたら少なくなったように思います。このことからも抗生剤の処方は少なくなっていったように思います。これは結果的に医療費削減にも繋がっていっていると思いますので、非常にいい流れではないでしょうか。     


 当院は、以前から任意接種のワクチンについても積極的に勧めてきました。3種混合やおたふく風邪ワクチンの接種人数は、メーカーの方が時々驚かれるほど接種するお子さんが増えてきましたが、それは保護者の皆様の病気に対する予防意識が高いことに起因するものだと思います。ただ、3種混合やポリオワクチンはまだ接種率も悪いので、もう少しこちらからもしっかり説明をしていかなければならないと思います。また費用の面からもまだハードルが高いようにも感じていますので、補助金については自治体から少しだけでも補助金を出していただけないか、今後交渉していこうと思っています。出来るだけ早く定期接種になればいいのですが、もう少し時間がかかるようです。   


 このように小児医療もワクチンの普及により疾患も様変わりをしてきました。そして抗生剤を使用する頻度もかなり減少してきました。この流れはこれからも続いていくと思いますし、自分の考えが少しずつ理解してもらえるようになってきたのかなと思っています。



【令和4年7月】
よしもと小児科 吉本寿美

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