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第56話 今年を振り返って

小児科医のつぶやき|第56話 今年を振り返って

早いもので、今年もいよいよあと1ヶ月で終わろうとしています。混乱する政治の行く末が不安ではありますが、これ以上悪くなる事はないと願いたいものです。さてさて、選挙の結末はどうなりますことやら。年末も政治から目が離せません。

小児科に限ってみれば、今年も予防接種の問題ではいろいろ振り回されました。ポリオワクチンが生から不活化に変更されましたが、いつものごとくワクチン不足が問題になってしまいました。実はこの不足問題は現在も解決しておらず、自治体によっては物がないという状況が改善されていないようです。幸い熊本はそこまではないようで、当院は来年からしか接種を開始しませんので、不足問題はあまり実感がありません。大切なワクチンではあるのですが、日本にいる限り現時点での国内感染はありませんので、ポリオワクチンについては急ぐ必要はないようです。


11月から始まった4種混合ワクチンも予想通りで、ワクチン供給が全く追いついていない状況です。これは来年もしばらくは続くのではと言われています。行政はもう少し現場を見て計画を立てて欲しいといつも思います。迷惑を被るのは結局子どもたちなのですから。不足するワクチン供給で職員も苦労しています。1日も早い安定供給を願うばかりです。なにせ、治験を行った当院にでさえ回ってこないのですから、これはもうどうしようもありませんね。


予防接種以外では、今年は夏のヘルパンギーナと手足口病が非常に少なかったように感じました。ここにきてだらだらと手足口病の患者が受診されますが、昨年のような大流行はありませんでした。それから、RSウイルス感染症がかなり早くから流行しました。ちょっと驚きました。お陰で今はそう流行はしていないようです。その他には、重篤な感染症も徐々に減少きているように思います。中核病院ではHib肺炎球菌ワクチンのお陰で髄膜炎がかなり減少しているようです。これは非常に喜ばしいことで、まさに予防接種の効果が出て来たと思います。この傾向はこれからも続くでしょう。となれば、さらに抗生剤を処方する機会は減少していくはずですが、残念ながらまだ不要な抗生剤を飲まれているお子さんも見受けます。当院では抗生剤の適正使用について、今後も啓蒙していかなくてはと思っています。いっぱい薬を貰って安心という昔の考えは無くしていかなくてはいけません。


新しい年になれば、例年のようにインフルエンザも流行してきますし、春先までは忙しい外来になりそうですが、それでもポリオワクチンや4種混合ワクチンを始めとした予防医療の充実、適切な診断と治療を今後も心がけていきたいと思います。来年10月には開院10周年を迎えますが、原点に戻って日々の診療に努めたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。それでは良いお年をお迎えください。



【2012年12月】
よしもと小児科 吉本寿美

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