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第92話 これからの小児科医に求められるものは

小児科医のつぶやき|第92話 これからの小児科医に求められるものは

 今年も早いもので12月となり、あと少しを残すのみとなりました。振り返れば、何もないと思った今年もやはりワクチン問題が突然として表面化し、現場は大混乱となりました。インフルエンザワクチンも4種混合ワクチンも何とか供給は再開されましたが、この手の問題はもう勘弁してほしいものです。当院では使用していないメーカーの麻疹風疹ワクチンも抗体上昇が悪く、回収や再接種の措置が取られています。最大の被害者は接種を受ける子ども達なのですから、ワクチンの問題については国がしっかり主導してやって欲しいといつも思います。


 最近では我々小児科医の仕事といえば、ワクチン接種が大きなウエイトを占めるようになってきました。それでも、やはり病気のお子さんを元気にしてあげるというのが最も重要な仕事であるのは言うまでもありません。最近は、ワクチンの影響で重症の感染症は減ってきましたので、昔ほど治らない病気で苦労することはなくなってきましたが、それに代わって今度は心の悩みを持つお子さんや、発達障害と診断されるお子さんが増えてきました。このようなお子さんに関わっていくのにはかなりの時間と知識を要しますので、当院での対応には限界があり専門の医療機関に紹介することになります。粘るのも大切なのですが、手放す勇気も必要となります。


 では、僕に出来ることは他にないのかと考えた時に、子ども達に元気を与えることは出来るのではないかというのが思い浮かびました。昔から「病は気から」という言葉がありますが、本当に大丈夫と言ってあげるだけで元気になるお子さんが多く受診されます。当然薬は必要ありませんし、明るく元気よく接してあげるだけで意外と元気になってくれるものです。最初から気のせいと思っては誤診することもありますので、そこは注意しなくてはなりませんが、気の持ちようでどうでもなるのだなと思うこともしばしばです。


 同じように子ども達を元気にしようというスローガンを掲げているのが、サッカーのロアッソ熊本とバスケットの熊本ボルターズです。趣旨に賛同して少しではありますが支援をさせていただいております。どちらの会場に行っても、元気な子ども達の笑顔をみるとほっとします。スポーツは子ども達に元気や希望を与えてくれています。どちらもなかなかいい結果が出ないことも多いのですが、そこは長い目でみてあげなくてはいけないかなと思っています。この事は子ども達にも言えるのかもしれませんね。すぐに結果を求めるのは、子どもの達の伸びていく芽を摘んでしまう恐れもありますので、気をつけなくてはなりません。


 また、毎年阿蘇で行われている「えほんのくに」というイベントにも当院は協賛しています。絵本を読んでいる子ども達は、本当に笑顔がいっぱいです。阿蘇での大自然に触れて、ぜひ元気になって欲しいと願っています。そこでは大人も笑顔になれる素敵なイベントですので、行かれた事がない方はぜひ行かれてみてください。阿蘇の葉祥明美術館に行って本物のブルービーを見ると幸せになれると言われています。いまや先日発売された絵本で有名人となった葉山館長に会って話をするだけでも元気をもらえますよ。


 最近は、診察だけして子ども達が元気になる時代ではなくなってきたように思います。時代の流れでしょうか、いろんなことを考えなくてはならないようになりました。診療はきちんとしますが、それ以外にやれることが何かないのか、日々模索しています。そのためにも、自分が出来ることは「出来たしこ」やってみようと思っています。果たして来年はどんなことが待っているのでしょうか。それではみなさん、よいお年を。



【2015年12月】
よしもと小児科 吉本寿美

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