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第40話 小児科診療の理想と現実

小児科医のつぶやき|第40話 小児科診療の理想と現実

梅雨が明けたと思ったら、いつもの暑さが戻ってきました。例年の事ながら、この暑さには慣れませんね。しかも今年は手足口病の大流行で、7月は思いのほか忙しかったようです。昨年は喘息が多かったのですが、今年は喘息は少なかったようです。何が違うのかよくわかりませんが、これも温暖化の影響なのでしょうか。


さて、ここに来て外来患者数は減少していつもの夏の風景になりました。熱があるけど、元気なお子さんが多く保護者の方の表情も幾分か穏やかに見えます。この時期は、僕ら小児科医にとっては安堵の期間です。この時期には、いろんな無駄話もすることが出来ますし、いろんな質問も飛んで来ます。普段は話せないようなこともゆっくり話す事が出来ますので、いつもより満足して帰られることも多いように感じます。


ところで、アメリカの開業小児科事情というのは、実は1日の来院患者数はわずか数十名だということをご存知でしたか。保険制度が違うため、一概に比較は出来ませんがこれでもクリニックを維持していけるのかと思うと、羨ましい限りです。このような状況だとゆっくりいろんな話をすることが出来るので、こちらのストレスも減るのではないでしょうか。予防接種も日本より多くの種類のワクチンが接種出来るため、多くの感染症が予防出来ているのかもです。


日本では、冬ともなると待ち時間が数時間になるような状況になり、我々小児科医は精魂尽き果てたという日々を過ごすことになります。しかも、小児科と耳鼻科がまるで患者の奪い合いのような状況になり、これでいいのだろうかといつも考えさせられてしまします。しかも、僕のような薬の処方が少ない医者はどうも人気がないようです。いつの日か、僕のように薬を出さない先生の人気が出てくることを願っています。そうなれば、自然とクリニックを受診するお子さんも減ってきて、救急などでは適正な受診が増えるのではと思います。


日本でもHibや肺炎球菌など、いろいろなワクチンの接種が始まりました。ロタワクチンも認可されるようで、以前に比べるとかなりの進歩です。これが、定期接種になっていくともっと抗生剤の処方は減るはずなのですが。いや、減らさなければいけません。そのためには、何でもかんでも薬をもらって帰るという日本人の考え方を改めるように、医療従事者も保護者も考えていかなくてはなりません。


いつの日か、予防接種を受けるお子さんの数が一般診察の数より多くなる日が来ないかなと思っているのですが、夢に終わるのでしょうか。もし、そうなれば小児科医ももう少しストレスのない診療が出来るのですが。理想と現実の違いに苦悩するこの頃です。そういえば、開業して白髪が増えましたね。単なる加齢のせいかもですけどね。


【2011年8月】
よしもと小児科 吉本寿美

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