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第18話 いい加減のすすめ

小児科医のつぶやき|第18話 いい加減のすすめ

今回はタイトルからして、なんか怪しいですね。いい加減をすすめるとは何事かとお叱りを受けそうですが、何でも適当にしましょう、手抜きをしましょうということではありませんので、その辺は誤解のないようにお願いします。
 具体的には、例えば育児については「いい加減」が非常にお勧めではないかといつも思っています。育児は最初から完璧にしようと思えば出来ない事はないかもしれません。しかし、ほとんど不可能に近いと思います。風邪をひかせない、怪我をさせないなど、最初はそう思います。そう出来れば理想なのですが、そうする事はまず無理です。子供って、小さい時にいっぱい病気をしてだんだん強くなっていくものです。また、転んだり、ナイフで怪我をしたりして、こういう風にすると危ないのだと学習して子供は成長していきます。


時に、一生懸命育児をされて疲れきってしまっているお母さんに遭遇します。「どうせ、育児は最初から完璧にやるのは難しいので、肩の力を抜いてちょっと手抜きしていくのも大事ですよ。でないと、育児はこれからもずっとしなくてはならないから、長続きしませんよ」と話す事があります。無理して頑張っていたお母さんは、涙をいっぱい溜めてほっとされる場合も多いようです。頑張りすぎると最悪の場合には、育児ノイローゼや虐待にもつながりかねませんので、こういうことを話してあげるのも小児科医にとっては大切なことではないかと思います。


そうはいっても、おじいちゃんやおばあちゃんと同居されていると、なかなか「いい加減」に出来ないこともあるようです。また、人にはいろいろな考え方があるので、頑張って離乳食も完璧に自分で作っておられる方もいらっしゃいますし、ある程度大きくなるまでは保育園などには預けずに面倒をみている方もいらっしゃいます。そう出来る方はいいのですが、なかなかそうすることは難しいですよね。共働きの核家族が多くなってきたため、離乳食も市販のものに頼って手抜きをするのもいいことではないでしょうか。そして空いた時間を他に回せばいいのです。朝からばたばたで保育園に預ける方も多いでしょうが、子供はいろんな交わりで人間形成をしていくのです。親だけが面倒みるよりも、集団生活は子供の成長発達の面でははるかにいいことだと思います。


CMでもあるように、なんでも「これでいいのだ」と思えばすごく気持ちが楽になると思います。最初から完璧に出来れば理想なのですが、そういう人はまれな存在ではないかと思います。神経をすり減らして、疲れ果ててしまってはどうしようもありません。どうか、たまには「いい加減」もいいものだと考えてみませんか。そうすれば、いろんなことがもっと楽しくなるのではないでしょうか。  但し、日頃の診察は手抜きして「いい加減」でやってはいませんので、その点はご安心下さいね。


【2009年10月】
よしもと小児科 吉本寿美

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