第218話 果たして迷信とは
先月はいきなり暑くなって、またまた嫌な季節が到来しました。5月だというのに30℃を超える日が何日もありましたので、今月は果たしてどうなっていくのか気になるところです。昔とは暑さの程度が変わってきていますので、エアコンを上手に使うなどで乗り切るしかありませんね。これからしばらくは注意が必要のようです。
さて、今年は暦の上では60年ぶりに「ひのえうま」だそうですが、調べてみるとこの年生まれの女性は気性が激しく夫の命を縮めるという迷信があるそうです。そのため60年前の「ひのえうま」の年には実際に出生数が減少しました。そして今年も同じく「ひのえうま」の年にあたるのですので、もしかしたら60年前と一緒のことが起きてしまうかもしれませんが、果たしてどうなのでしょうか。最近は迷信を信じる人が少なくなってきたのであればいいのですが、少子化が叫ばれている昨今ですので、もしも出生数が大幅に減少するようなことがあれば大変なことになってしまいます。将来の日本を考える上でも今年の出生数というのが非常に気がかりです。
迷信といえば、麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘などの病気は「罹った方がいい」というのも昔は言われていたようです。少なくとも自分らが小さい頃はワクチンがない世代でしたので、病気をもらいに行けという考えが当たり前だったようです。もちろん現在ではそれは間違った考えだというのは紛れも無い事実で、もし感染した場合に特効薬があるのは水痘のみで、他の3つは対処療法となります。困ったことに麻疹は現在日本での流行が見られ、小児科医は戦々恐々としています。それは麻疹が怖い病気だというのを知っているからです。ちなみに自分が医者になって最初に亡くなったお子さんを見たのは、麻疹のお子さんでした。2歳前後のお子さんでしたがあっという間に肺炎を併発して亡くなりましたので、麻疹の恐ろしさは身をもって体験しました。また、おたふくかぜも自分の息子のように髄膜炎になるケースもありますし、もっと問題になるのはおたふくかぜによる難聴です。おたふくかぜによる難聴は一生聞こえなくなるのですが、耳鼻科学会の調査では日本でもかなりの数の患者さんがいるようです。なので、今の時代はワクチンで予防できる病気は絶対に接種して予防すべきだと思っています。
それからワクチンといえば、以前ワクチン接種によって自閉症になるという噂もネットなどで流れて、当時は結構多くの保護者の方からお尋ねをされた記憶があります。自閉症という病気はワクチン接種が原因でなるものではありません。原因がわからないからそれをワクチンのせいだと短絡的に結びつけることは絶対に間違っています。是非とも、大切なお子さんの命を守るためにもワクチン接種は生後2ヶ月になったら規定の回数をきちんと接種される事をお勧めします。
今はネットにいろいろな情報が溢れています。調べれば簡単にいろんな情報を入手することが出来ます。正しい情報もありますが、なかには迷信同様に明らかに間違った情報が流れていることも少なくはありません。我々はその中から取捨選択して正しい情報に基づいて行動するというのが、親としての役目ではないかと思います。そしてわからなければやはり一番はかかりつけの小児科医に聞いてみるのが最善の策ではないかと思います。
【令和8年6月】
よしもと小児科 吉本寿美







